秋はお諏訪のシャギリで 氏子がぶらぶら
ぶらりぶらりと言うたもんだいちゅう
♪遊びに行くなら 花月か中の茶屋
梅園裏門叩いて 丸山ぶらぶら
ぶらりぶらりと言うたもんだいちゅう
♪梅園太鼓に びっくり目を覚まし
必ず忘れぬように また来てくだしゃんせ
しゃんせしゃんせと言うたもんだいちゅう
♪紙蔦揚げするなら 金毘羅〈こんぴら〉風頭〈かざがしら〉
帰りは一杯機嫌で 瓢箪ぶらぶら
ぶらりぶらりと言うたもんだいちゅう
♪今年ゃ十三月 肥前さんの番代わり
城ヶ島に見物がてらに オロシャがぶらぶら
ぶらりぶらりと言うたもんだいちゅう
♪嘉永七年 きのゑの寅の年
まず明けまして 年頭のご祝儀 一杯屠蘇機嫌
酔うた酔うたと いうたもんだいちゅう
♪沖の台場は 伊王と城ヶ島
入りくる黒船は すっぽんすっぽん
大砲〈おおづつ〉小砲〈こづつ〉を 鳴らしたもんだいちゅう
♪大井出町の橋の上で 子供のはた喧嘩
世話町が五、六町ばかりも 二、三日ぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪ぽん袴 あちゃさん底抜け盆まつり
豚の土産で 二、三日ぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪正月十七日は 岩屋に駆け登り
げんべに打たれて 味噌漬けぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪時計作りの儀右衛門さんは 黒船ば曳き揚げた
からくり仕掛けで みごと曳き揚げた
みごと見事と いうたもんだいちゅう
♪紺屋町の花屋は 上野の向い角
弥生花〈やよいばな〉三十二文で 安いもんだいちゅう
安い安いと いうたもんだいちゅう
♪紺屋町の上野は 花屋の向い角
夕方にゃあんねどんが 酒ダルぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪あそびにいくなら 花月にかぎります
醒ガ井さんの手をひきながら 丸山ぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪主のあるのに 欲をして
命替わりにそがれた鼻柱
相手お医者で つがれたもんだいちゅう
♪しののめの 別れにしっかと抱きしめて
忘れぬようにまたきてくだしゃんせ
しゃんせしゃんせと いうたもんだいちゅう
♪梅園太鼓に びっくり目をさまし
朝の帰りにぬれまら ぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪あすこの おっかつぁんは たいそうよかばってん
ほんに あんげんしとって 横道者〈おおどもん〉ばいの
おおど おおどと いうたもんだいちゅう
♪あんたのしゃんすは じんべん 来たばいな
よかばの おすばんばっかりと いうたもんだいちゅう
すばん すばんと いうたもんだいちゅう
♪長崎なまりは そんげんあんしやまたち
すらごといいますなと いうたもんだいちゅう
いうた いうたと いうたもんだいちゅう
♪ゆうれん 片下駄 あちゃさん商売帰りゃ
一杯機嫌で きんたまぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪すき戸のあいだから のぞいてながむれば
思いがとどいて顔のやせ
どうして一度はそいたいもんだいちゅう
♪うしろからかつぎをかぶって 抱きつく五郎丸
これ何者ぢゃとまたぐらさぐれば きんたまぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪長崎見るなら 出島の夕げしき
おひげのカピタン パイプくわえて ぶらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪お諏訪のお祭り 傘鉾もってこい
シャギリで踊れば 大蛇のしっぽがぶらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪ダンダラのぼれば 港がよく見える
唐人船やら オランダ船やらぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪名物旗上げ 見るなら唐八景
勝っても負けても みなよか機嫌でぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪長崎よか街 石段石だたみ
眼鏡の石橋 ふたりでわたってぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪行こうか丸山 戻ろか思案橋
あの妓にゃ逢いたし 財布は軽いしぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
♪精霊流しの 大波止ドラが鳴る
お船の燈籠が 夜空に吹かれてぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
*****私見*****
吉永小百合さんが主演した映画(原作はなかにし礼氏の小節だったと思います)で有名になりましたね。
起源は永和年間にはやった豊年歌の「やだちう節」だそうで、江戸から名古屋などで流行っていた歌だそうです。それが長崎港に伝わりお座敷で洗練されたようです。
長崎の名物、風俗、歴史的な出来事、庶民の生活、いろんなものを題材にしていろんな歌詞が作られたようです。
お祭りの様子を歌っている歌詞もあれば、遊女の心情を歌ったものもあり、結構ごちゃまぜで統一性はあまりないように思います。
お座敷唄で女性が唄う事が多いようです。
自分が芸者になったつもりで粋に唄うといいかもしれないと思うのですが・・・色気を出すのはなかなかむずかしい。